
大月隆寛編
鹿砦社 2002年 ISBN 4-8463-0468-X

(目次より)
サルを哀れむ歌
徹底追跡!田口ランディとその周辺(星野陽平)
わたしは田口にこんな目にあわされた(山崎マキコ)
田口とインパク、その顛末記(槙村達史)
わたし、田口を世に出す片棒をかついでいたようです(織田のり子)
悪い奴ほどよくパクる
「盗作」はいかに報じられてきたか(栗原裕一郎)
なめとんのか、オラ!(黒崎竜太郎)
ポチとチワワ(シャケ)
胸いっぱいの愛を
田口ランディという生き方(片平悠子)
田口読者のプロファイリング(愛新覚羅クヒオ)
哀しいかな、平凡(廉大烈)
田口さん、こうすればあなたもきっと再生できます!(高村光枝)
無能の叫び
「万引き」疑惑、原典との文章対比一覧(baud rate R.A.)
田口ランディ、疑惑だらけの経歴(baud rate R.A.)
奇妙な言葉、奇妙な世界(baud rate R.A.)
【サイバッチ!】かく戦えり
田口ランディの「謝罪文」
(感想)
田口氏の書いたものは、本もコラムもメルマガもほとんど読んではいないけれど、パクリ/盗作に関しては少し興味もあるので、さっそく買って読んでみた。……いや正確に言うと、部分的に読んでみた。何だか前置きが長くて、なかなか核心部分(詳細なパクリ検証)に行き着かないので、読んでいて少しイライラした。突撃取材の手法など興味はないし、各出版社の対応も、いささか冗長に感じた。「コラムストーカー」の被害に遭った方の手記やパソコン通信時代の行状なども、盗作検証本に載せる意味はあるのだろうかと、疑問に思う。「インパク」編集長としての手腕がどうとか、文章がいかに下手であるかというのも、興味なし。
100ページを超えて「『盗作』はいかに報じられてきたか」で、やっとそれらしい内容になった。この章は読みごたえがあって面白い。「ポチとチワワ」も詳細な検証だが、後半にある文章の対比一覧と内容が重複する。独立した章を設ける必要があるのだろうか。
やっと「『万引き』疑惑、原典との文章対比一覧」で、パクったとされる文章とパクリ元文章の対比が示された。200ページを超えてやっと本題?ってな感じで、ここに到達した時にはかなり疲れていた。それに数が多すぎて途中で飽きた。飽きるほどある、ということ自体尋常でないかもしれないが……。
だが、ちょっと見づらい感じがした。この本には「インターネットから生まれた」といううたい文句があるのだが、本当にネットの書き込みをそのまま本にしたという感じで、レイアウトがベタなのだ。もうちょっとこう、両者の類似性がよくわかるようなレイアウトにはできなかったんだろうか。特に、ページをわたる場合に、いちいち紙をめくって行きつ戻りつしないといけないのが、面倒だ。
また、明らかに類似しているなと思える箇所がある一方で、パクリというほどだろうかと疑問に思う箇所もあった。その部分だけを取り出して見るのと、全体の文脈の中で見るのとでは、印象が違うのかもしれない。また、マンガと比較する場合、絵があるのとないのとでは、説得力にかなりの差が出るのではないだろうか。材料はたっぷり(たっぷり……)あるのだから、もう少し「見せる」工夫がほしかったところ。
その後の「奇妙な言葉、奇妙な世界」も、わりとどうでもいい感じ。ネットにでもあれば、ざっと見てあははと笑ったかもしれないが、単行本でじっくり読もうという内容でもない。風変わりな言葉遣いをする人なんだなということはわかったが(ところで、この「奇妙な言葉」たちは田口さんのオリジナルなんだろうか)、明らかな誤植・誤変換にまでつっこむのは少々悪のりがすぎるのではないか。
全体を見ると、雑多で読みづらいという印象は否めない。力作ではあるんだろうけど、力の入りどころが私の関心とズレているのだろうか。田口ランディという作家がどういう人物であるのか、経歴はどうなのか、とかいったことには興味はない。読者と作家の接点は作品だ。よって読者にとって最も気になるところとは、やはり作品の真贋だと思う。
余計なことかもしれないが、縦書きでコロン(:)の多用はどうかと思う。鼻の穴に見えた。(● ●)